卒後臨床研修案内〜2008年度総合報告

はじめに

秋田組合総合病院における医師卒後臨床研修は、義務化から1年遅れ、平成17年4月よりスタートした。

初年度の受け入れ数は

1) 本院を管理型研修病院とするプログラム:1年次 3名(定員 4名)
  *マッチングでは定員100%充足であったが、採用に至ったのは3名であった。
2) 秋田大学医学部附属病院を管理型研修病院とし、本院を協力型研修病院とするプログラム:2年次 12名 (延べ87ヶ月)

本アンケート調査は以上の計15名の研修医、指導医登録を行った各指導医ならびに看護部門(部長、副部長および病棟師長)スタッフを対象に行った。

アンケート回収率は、研修医:73.3%、指導医:49.0%、看護部門 58.3%であった。

Q1:本院の初期臨床研修プログラムを選んだ理由 (複数回答可)

受け入れ側の指導医・看護部門の回答では半数以上が、秋田市内にあること、給与・待遇面での条件を上げたのに対し、研修医側の回答では秋田市内にあることを上げた率は確かに45.5%と高いものの、給与・待遇面を上げたものは1名のみで、むしろ研修プログラムが自分にあっているとの理由をあげたものが過半数の63.6%で最も多く、先輩・友人からの薦めを上げたものが36.4%に達した。

Q2-3:本院の臨床研修に関するシステム・設備、ならびに研修指導体制に対する評価

受け入れ側の指導医・看護部門の回答ではまだ十分整備されていないとの自己評価を示す回答が過半数をしめたのに対し、研修医側の回答ではむしろ本院の研修体制を積極的に評価する声が80-90%に達した。

Q4-Q5:本院の臨床研修体制が医療・労働関係規則、ガイドライン適用に関し、適切に運用されているか、また本院では研修医の医療安全管理に対し十分な配慮をしているかに関して

研修医の63.5%、指導医の62.5%、ほぼ同数が本院では関係法規・ガイドラインが概ね遵守されているとの評価で、同様に研修医の63.7%、指導医の50%が肯定的な評価であったのに対し、看護部門でガイドライン遵守に関し肯定的な評価は33.3%、医療安全に関しては44.4%に留まり、研修医・指導医との間で評価に解離が見られた。

Q6-Q7:研修医の健康管理、メンタルヘルスに対する対応について

研修医側が概ね肯定的な評価を示したのに対し、受け入れ側の指導医、看護部門からは厳しい評価であった。

Q8:研修評価、修了基準の整備に関して

Q2・3・6・7と同様な傾向を示した。すなわち、受け入れ側が懸念するほどには、研修医からの当院の研修体制全般の評価は悪くないということであろうか。

Q9:臨床研修義務化後、研修医の質が向上したかに関して

この問いに対しては研修医72.8%、指導医の58.3%、看護部門の66.7%が肯定的な評価であり、 他は概ね中立的であり、否定的な評価は指導医の16.9%のみで、研修医、看護部では0%であった。

Q10:もし貴方が学生で来春から臨床研修を受けるのだとしたら

この究極の問いに対しなんと研修医の100%!、さらに、研修体制に対して比較的厳しい評価を下していた指導医の過半数54.2%が肯定的な評価をしてくれた!
(研修担当者としてこれに優る嬉しい評価はありません)

Q11-17は研修講義、Q18-23は研修医カンファランスに関して

いずれも回数、時間設定、内容に関しては研修医側、指導医側とも現行でよいと考えていることが示された。研修講義における「ベスト講義」は整形外科 阿部利樹先生の「交通外傷・整形外科救急」であり、ギプス材料を持ち込んでの実技指南に対する評価がきわめて高かったことに加え、当院救急センターの忙しさ、特に交通事故を典型とする外傷関係受診患者の多さを物語るように思われた。続いて、血圧、糖尿病、循環管理、輸液管理、繁用処方、感染症などの評価が高く、どの科をまわっていても大事な全身管理の理論、手法に関するもののニーズが高いことが窺われた。研修医カンファランスに関してはより強い指導医の関与を求める声がある一方で、研修医の発表内容の向上を求める厳しい声が目立った。

Q24-25:研修当直に関して

研修医の72.7%、指導医の54.2%が丁度よい回数と答えた一方で、両者ともにもう少し増やしてよいという声が一定数あった。しかし、一方で、オーバーナイト型ではなくする、あるいは翌日十分休養をとれる体制を求める声が多い。研修当直に対する指導医の関与に関しては指導医毎に濃淡があるようで、きちんとしたバックアップ体制をとること、救急患者のカンファランスなどのフィードバックをきちんとすべきという提言があり、早速検討課題としたい。

Q26-30:その他の要望に関して

研修システム充実、病院機能向上のための最重要課題としては医師数・看護師数増加などマンパワーの一層の充実と医療安全関連の教育企画、カンファランスを上げる声が圧倒的であった。また、指導医に対する教育企画の要望も少なからずある一方で指導医の負担軽減策を望む声もみられた。その他の個々の声に関しては可能な限り、アンケートの集計表に再掲した。

総括

アンケート施行前は、研修担当者として一年を通して現場から様々な苦情を含めたご意見、要望をいただいておりましたので、かなり厳しい評価を予想しておりました。大学や他の研修病院担当者との会合等でも、当院は1年後発の立場でしたので、ことらからご相談する場面ばかりが続いていたような印象があります。しかしながら、こうして集計が修了してみますと、研修医諸君の評価がきわめて高かったことに驚かされます。特にQ10の問い(もし貴方が学生で来春から臨床研修を受けるのだとしたら?)に対する研修医諸君、指導医各位の答えにはちょっと涙ぐんでしまいました。かけだしの研修担当者としてこれに優る嬉しい評価はありません。改めて指導医、そして看護部、検査、事務部門、全ての関係者の皆様に厚く感謝申し上げます。

もうひとつ、こうした幸せなスタートを切ることができましたのは、何より当院の研修プログラムに参加してくれた研修医諸君がしっかり当院の環境になじみ、そして一所懸命に研修に励んでくれたおかげと思っています。特に義務化導入後の第1期生として、貴重な1年間の研修経験を携えて、当院にきてくれた2年次の研修医12名がいなければ、これほどのスタートは切れなかったと考えています。みんなの協力に感謝しています。ありがとう。